「親指さがし」の結末。


親指さがし」の上映もほぼ終了したし、季節も晩秋と言う感じになってきたので…自分の中で最後の謎解きをしたいと思います。謎はいくつかありますが、全部をまとめて推理するには自分の頭は軽すぎるので、ひとつずつ書きたいように書いてみたいと思います。

まず下のほうで、親指さがしという映画について何だかんだと、かつ長々と書いていますが…その最後に「謎」について書いております。その謎はけっこう長い間自分の中で謎のままだったんですが、最近になってなんとなく判ってきました。この謎は、果たしてそこまで監督が考えているのか…それとも偶然なのか判らないんですけど、でも…偶然にしちゃ出来すぎな気もするので、自分の中では「そういうことにしようかな。」と思ってます。

謎はこういうことでした。
①なぜ、サキの館とホテルに同じカーテンがかかっているのか?
②なぜ、サキの館の机の形やカーテンの色を武は知っているのか?
つまり・・・武は「いつから」「どこまで」知っていたのか?

これは、何度も見たという人ならもしかしたら判っているかもしれないんですけど…非常に曖昧なんですよね。自分も見たときにはそう思ったんだけれど、後からよくよく考えると「それは武の見たもの」であって本当は違ったのかもしれない…と。そういえば最後のあの部屋の場面で本当は廃墟なのに武にだけはあの部屋に見えるという種明かしがありましたよね。じゃあ、いつから武は幻影を見ていたのだろうと思うわけです。
他の方の映画の感想で「セットやら何やらが嘘くさい」というのがあったので、何となく思い出してあの由美子の家の垣根の朝顔の画像を作ってみました。映画では、もっと鮮やかだったかもしれません。向日葵もキレイで由美子の家は夢のような感じ…だった気がします。そうなると、あの場面とかも…もしかしたら武の見ていた由美子の家だったのかなあ…とも思います。(これは、こないだ会った友人も言っておりました。あの映画の画像があんなにキレイなのは全部武の見てる世界なんじゃないか…と思った…と。)

さて、熊沢監督…本当のところはいかがですか?

もうひとつは、やはり少し前に書いている「何が怖かったの?」についてです。
もちろんこれは「武と由美子が両思いになる」「武が由美子を見つけて由美子が思いを遂げる」ことが怖かったんだとは思います。そうだった場合に、じゃあ…由美子は何をしたのだ…ということです。親指探しをする前に、由美子は通風孔(またはダスタージュートかなんか?)に蓋があってそれが大丈夫だと言っている。じゃあ、何であの時に由美子は落ちたのか…じゃあ何で知恵は由美子があそこに隠れたと言わなかったのか?…そこが一番の謎なわけです。つまり、知恵は言えなかった…言えない理由があった…ということです。それがなけりゃ、いくら小学生の子供だって、警察に言ってるはずだから。「由美子はあそこに隠れて、自分は止めたのに…。」って。言えない理由はひとつしかないわけで、そして知恵は本当にそれを忘れてしまっている。記憶を封印してるわけです。なんだけど、ある時思い出す(車の中で「武君は呪われてる」と言い出す時です。)、呪いはない…あるなら殺されるのは自分だからです。

武が由美子に固執し幻影を見続けているのも、理由はほぼ同じだと考えています。つまり…あの時偉そうに「絶対見つけてあげるよ。」なんて言ったが本当は怖くて悲鳴を聞いたにもかかわらず由美子を見捨てた…ということがあるわけで。彼の場合、呪縛が解けた後に「ごめんね、怖くて助けられなかった。」と呪縛の理由を告白していますが、そうなると…彼の呪いは…由美子を思う気持ちではなくて、由美子は生きていると信じている…つまり自分が見捨てたことで由美子は死んだわけではない…(これは知恵も言っている由美子は家出だと…でも、自分の記憶が甦った後には知恵は死んでると言っている。)…そして自分は約束を守って由美子を探し続けていると…いう幻影を壊されたくないという理由なんじゃないかな、と思うわけです。だから、その幻影を壊そうとする、由美子はいないとか…忘れろとか言った相手から殺していくわけです。

それから、なんとなく思ったのですが…5人のプロフィールを読んで…心の傷を抱えたままになってしまった2人は家庭的にもあまり幸福とは言えなかった…もちろんそれは由美子も同じで。そう思うと、家庭というものが子供に与える影響というのは大きいと…思ったりもするわけです。

そんなわけで自分の中では謎が解けた気分になって、ストーリィ上で気になることはありません。DVDが出てまた見たら、新たな謎やら自分の記憶の間違いに気づいて、もう一味楽しめそうですが…。そんな自分の現在の気になることと言ったら、やはり三宅健のアイラインですね。写真でも丸わかりだし…映画でもよーく判りました。あれはアリなんだろうか?…アイライン…。(下側です。)